今、フコキサンチンが注目されています。フコキサンチンは日本人が昔から食べている昆布やわかめなどに含まれている成分です。近年、フコキサンチンの研究が進み、脂肪燃焼効果や抗酸化力、美白などの健康・美容での様々なうれしい効果が明らかになっているのです。
この記事では、フコキサンチンの持つ様々な魅力をご紹介します。
フコキサンチンとは
フコキサンチンとは、昆布やわかめなど褐藻類に含まれ、自然界に750種類以上あるカルテノイドと呼ばれる色素の一つです。カルテノイドというのは動物や植物などに存在する赤色または黄色の色素で強い抗酸化力を持っています。カルテノイドの種類としては緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンやトマトなどに含まれる赤い色素リコピン、ほうれん草などに含まれるルテイン、鮭やイクラに含まれる赤い色素アスタキサンチンなどがあります。
これらは活性酸素の発生を抑えたり、活性酸素を除去したりする作用を持っています。
フコキサンチンは研究により抗酸化作用をはじめとした健康や美容に対する効果があることがわかってきました。
希少なフコキサンチン
フコキサンチンは化学的に合成することが出来ません。動植物などから抽出するしかないのです。しかしフコキサンチンの含有量が多いとされる昆布やわかめにも極少量で、多いものでも0.02%程度と非常に微量なのです。一つの種類の褐藻でも季節や産地によってフコキサンチンの含有量が違うので原料供給の安定性にも課題があります。
脂肪を燃焼するフコキサンチン
フコキサンチンは脂肪を燃焼させるためダイエット効果が期待できます。特に注目すべき点は白色脂肪細胞を燃焼することです。脂肪には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞があり、それぞれの役割は以下の通りです。
・白色脂肪細胞
一般的に体脂肪・内臓脂肪などと呼ばれ、下腹部や太もも、おしりなど体の中で特に脂肪がつきやすいといわれる場所に多く存在しています。白色脂肪細胞は余ったエネルギーを中性脂肪として蓄え、エネルギー不足の際には脂肪酸として全身に供給する貯蔵庫しての役割をもっています。白色脂肪細胞は「脂肪をため込む」働きがあります。
・褐色脂肪細胞
首や肩甲骨のあたりなど体の中の限られた部位に点在しています。褐色脂肪細胞の働きは「脂肪を燃焼させて熱に変える」ことです。寒いときには脂肪を燃焼させて体温を上昇させるのです。赤ちゃんの頃は、褐色脂肪細胞の働きで寒いときの体温維持をしているのですが、成長し筋肉が発達してくると徐々に減っていきます。そして大人になったとき残っているのが首や肩甲骨などの限られた部位なのです。肩甲骨を動かすダイエットがあるのもそのためです。
褐色脂肪細胞の燃焼の仕組みに大きくかかわっているのがUCP1というタンパク質です。UCP1の働きにより熱を産生し脂肪を分解するのです。
フコキサンチンは白色脂肪細胞での脂肪を燃焼させるタンパク質UCP1の発現を誘導します。すなわちフコキサンチンは余った栄養分が脂肪として蓄積された白色脂肪細胞を燃焼することが出来るのです。
抗酸化力に優れたフコキサンチン
フコキサンチンは非常に優れた抗酸化力を持っており、必要以上に体内で発生した活性酸の増加を抑えるとともに活性酸素を除去する働きを持っています。
・活性酸素
人間は酸素を取り入れることにより生命活動を行っていますが、そのうちの2%が活性酸素になると言われています。活性酸素は体を酸化させる力が非常に強く老化や病気の原因として捉えられており悪いイメージが先行しがちですが、強い殺菌力を持ち、体内では細菌やウイルスなどを攻撃し体を守る役割を持っています。しかし体内で活性酸素が増えすぎると正常な細胞やDNAを破壊し、老化や病気、シミやしわの原因となるのです。活性酸素が増えすぎてしまう要因としてはストレスや紫外線、たばこなどがあげられます。
βカロテンやリコピン、アスタキサンチンなどのカルテノイドは強い抗酸化力を持っていますが、フコキサンチンは、その中でも特に活性酸素による酸化から体を守りサビを除去する効果が高いと報告されています。
糖化を防ぐフコキサンチン
老化の大きな原因は活性酸素による酸化と言われていますが、もう一つ老化の原因になっているのが糖化です。
・糖化
糖化とは、余った糖とタンパク質が結びつき変性してしまうことです。肌が硬くなったり、黄ばんだりするのは糖化が原因です。糖化が起きると「AGEs(終末糖化産物)」と呼ばれる物質が作られます。私たちの体の約70%が水分、次に多いのがタンパク質で約20%、その他10%なのです。体の固形分のほとんどがタンパク質なのです。そのタンパク質と糖が結びつくので、体の色々な部位で糖化が起こり、病気の原因や肌の老化につながるのです。
フコキサンチンはAGEsの産生を抑制する効果があり、若々しい肌、健康的な体を維持することが期待できます。
糖尿病予防の期待が出来るフコキサンチン
糖尿病はインスリンの分泌低下やインスリンが十分に働かない場合におこります。インスリンの役割は血液中の糖を細胞に届けることなのですが、インスリンが十分に働かないと血液中の糖が細胞に取り込まれずに血液中に糖があふれていまします。インスリンが働かなくなる要因の一つがTNA-αの活性です。TNA-αはインスリンの働きを抑制し、血糖値を上昇させるのです。
フコキサンチンはTNA-αの活性を抑制することにより、血糖値の上昇を抑え、糖尿病予防効果を持つと考えられています。
メラニンを作らせないフコキサンチン
肌は紫外線を浴びると、紫外線から肌を守るためにメラノサイトでメラニンを産生します。メラノサイト内ではチロシナーゼというたんぱく質の働きによりチロシンからドーパキノンを生成し、その後シミの元メラニンを生成します。
フコキサンチンはメラニン生成を活性化するチロシナーゼの働きを阻害するのです。つまりシミの元メラニンを作らせない効果があることが最近の研究で明らかになりました。
真皮層を若々しく保つフコキサンチン
真皮層は真皮の3大成分(コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸)で構成され、肌の本体ともいえる部分で、ハリや弾力の元となります。フコキサンチンはコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸それぞれに有効に働きかけることができます。
コラーゲン
真皮の90%をコラーゲンが占めており、肌に弾力を生み出しています。コラーゲンは加齢とともにどんどん減少していくのですが、その要因となるのがコラーゲン分解酵素であるコラゲナーゼの活性です。紫外線や活性酸素などによりコラゲナーゼが活性するとコラーゲンを分解しシワの原因となります。
フコキサンチンは、コラーゲン分解酵素であるコラゲナーゼの活性を阻害し、コラーゲンの分解を抑制することが報告されています。
エラスチン
エラスチンはコラーゲンを束ねる弾力線維です。しなやかで伸縮性があるのが特徴で、肌を押したときのやわらかさの元となります。エラスチンの量は20代中盤をピークに減少をはじめ40代で急激に減少スピードが速まります。エラスチンを減少させるのがエラスチン分解酵素であるエラスターゼです。エラスターゼが活性しエラスチンが減少するとコラーゲンと同じくシワ。たるみの原因になります。
フコキサンチンは、エラスチン分解酵素であるエラスターゼの活性を阻害し、エラスチンの分解を抑制する可能性が報告されています。
ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は強い保水力を持っており、ヒアルロン酸1gで6ℓの水を抱え込むことが出来ます。ヒアルロン酸は肌の水分保持にとって重要な役割を持っているのですが、ヒアルロン酸が減少すると肌の潤いが失われシミやたるみの原因となります。そしてヒアルロン酸もコラーゲン・エラスチンと同様に加齢とともに減少してしまいます。0歳時を100%とすると30歳では65%、60歳では25%と4分の1にまで減ってしまうのです。ヒアルロン酸を減少させる原因になるのがヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニターゼです。
フコキサンチンヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニターゼの活性を阻害し、ヒアルロン酸の分解を抑制することがわかっています。
フコキサンチンの培養に成功
フコキサンチンは、脂肪燃焼効果、抗酸化力、抗糖化力など様々な機能を持ち、美容の面でも効果が期待できます。
これまでもフコキサンチンの持つ驚きの機能に注目されていたものの、海藻に含まれる量はごくわずかで精製が難しくなかなか商品として流通していませんでした。しかしmeraviでは独自の培養装置を開発することで、高濃度かつ大量培養に成功しました。現在ではシミやたるみに効果が期待される化粧品として販売しております。
まずはスキンケアからフコキサンチンを取り入れていつまでも若々しい肌をめざしてみませんか。
参考資料
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/59/2/59_2_49/_pdf/-char/ja
https://www.oryza.co.jp/pdf/japanese/Fucoxanthin_j%203.1M.pdf